【12月21日 Xinhua News】中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ、Huawei)のタイ現地法人、ファーウェイ・タイランドは16日、同国のマヒドン大学付属シリラート病院、タイ国家放送通信委員会と、バンコクにある同病院で第5世代移動通信システム(5G)に対応したスマートホスピタルプロジェクトを始動した。

 始動式には同国のプラユット首相、チャイウット・デジタル経済社会相、中国の韓志強(Han Zhiqiang)駐タイ大使と企業代表者らが出席した。

 プラユット氏は今回のプロジェクトについて、タイ医療分野でのデジタル技術活用を推進する第一歩であり、患者に便利で迅速な医療サービスを提供するとともに、医療従事者の負担を大幅に軽減すると指摘。シリラート病院をパイロットプロジェクトとしてスマートホスピタルの長期計画を定めていく考えを示した。

 韓氏は、中国とタイの5G協力は地域のモデルとなっており、タイが東南アジアでいち早く5G商用化を実現する後押しになると表明。タイはデジタル医療産業などを民生サービス提供と経済発展促進の新たな成長点として位置付けていることから、両国のスマート医療分野における協力の潜在力は非常に大きいと期待感を示した。

 同プロジェクトは、ファーウェイの5Gやクラウド、人工知能(AI)などの技術を導入することで、5G対応救急車による搬送からAIによる診断支援、退院後の遠隔医療に至るシリラート病院のサービスプロセスの全面的なスマート化転換を支援する。ファーウェイが東南アジア諸国連合(ASEAN)で初めて実施する5Gスマートホスピタルプロジェクトでもある。 

 シリラート病院は現在、ファーウェイと5G対応の携帯用救急キット、移動診療車、スマートベッドなどの試行運用を実施しており、来年は医療分野の5G応用で30のプロジェクトを共同で完成させ、タイの医療業界全体に普及させるとしている。

 医療業界のデジタル化転換は、同国が掲げる産業高度化政策「タイランド4・0」の重要な一部分となっている。タイ保健省は9月、5G技術による医療サービス向上と都市・農村医療資源の均衡的発展促進、医療産業の転換加速を目的とした了解覚書をファーウェイと締結している。(c)Xinhua News/AFPBB News