【1月2日 AFP】インドを襲うサイクロンが年々激しさを増す中、世界最大級のマングローブ林地帯で暮らす女性たちが数多くの苗を植え、沿岸の集落を気候変動から守ろうとしている。

 マングローブ群生地のスンダルバンス(Sundarbans、バングラデシュ側ではシュンドルボン)は、ベンガル湾沿いにインドとバングラデシュをまたぎ、ベンガルトラやカワゴンドウなど世界的に希少な生物の生息地でもある。

 世界遺産(World Heritage)に指定されているが、過去には違法伐採の被害を受け、現在はすさまじいモンスーンの嵐でたびたび痛めつけられている。

 昨年11月上旬、若木を頭に乗せ、足首まで泥に漬かって岸辺を歩いている地元女性のグループがいた。何もない海岸線を再森林化する長期的な取り組みが始まったのだ。

「この辺は、嵐やサイクロンによく見舞われます」と語る参加者のシバニ・アディカリ(Shivani Adhikari)さん。「そこで堤防を守るために、私たち女性が木を植えているのです」

 国連環境計画(UNEP)によると、マングローブは浸食や異常気象から海岸線を守り、汚染物質をろ過して水質を改善させ、多くの海洋生物に繁殖場を提供している。

 マングローブは葉、幹、根、そして土壌内に毎年数百万トンもの炭素を隔離し、気候変動との闘いに貢献する。さらに、この地域を通過するサイクロンから、沿岸の集落を守る緩衝地帯となる。

「堤防が守られれば、私の村は生き延びることができる」と語るゴータム・ナシュカー(Goutam Nashkar)さんは、植林プロジェクトの現場近くに住んでいる。「村が生き延びれば、みんなも生き延びることができる」と話し、「これがみんなの希望であり、願いです」と加えた。

 地元NPOと西ベンガル(West Bengal)州政府が支援するプロジェクトは、1万本前後のマングローブの苗木を植樹する計画だ。

 インド東部の州やバングラデシュの沿岸部はここ数十年、壊滅的なサイクロンに頻繁に見舞われ、数十万人の命が犠牲になっている。

 嵐の頻度と強度は増しており、気候変動が原因とされる。一方、避難の迅速化、予報の改善、避難所の増設などによって死者の数は減少している。

 映像は2021年11月2日撮影。(c)AFP