【12月23日 AFP】トルコの大都市イスタンブール──鼻を突く臭いを発する煙の中で、アフガニスタン人の若者が、街中の収集箱から拾い出してきたごみをしゃがみこんで仕分けている。このぎりぎりの生活手段さえ、奪われる日が近いとの不安がよぎる。

「朝8時に始めて、終わるのは夜8時です」。トルコに来て4年たつというイッサムさん(20)は語る。

 冬の雨の日、仮設の仕分け場を辛うじてたき火が暖めている。イッサムさんは「とてもきつくて、稼ぎも少ないです。でも私にはこれしかありません」と言って肩をすくめた。

 トルコの貧困層の中でも最底辺とされるアフガン人は、クルド人やラズ人、ロマ人その他の少数民族や不法移民と同じように、他の人々が見向きもしない仕事をしている。彼らが街中を歩き回って1日に手にする稼ぎは10ドル(約1100円)に満たない。

 1600万近い人口を抱えるイスタンブールは通貨危機に見舞われ、さらにシリアやアフガンなど紛争地域からの移民流入による重圧にさらされている。

 大型のごみ収集箱に頭から突っ込み、ペットボトルやガラス、その他さまざまなごみを掘り出し、仕分けしてまとめて売る。全くの自営で規制もないこの仕事により、イスタンブールの街は清潔に保たれ、イッサムさんのような人は糊口(ここう)をしのいでいる。

 だが、移民や外国人に対する国民感情が敵対的になる中、イスタンブール県はこの仕事を「環境および公衆衛生」を害するものだと言い渡した。

 だが、トルコ当局の本音は、もうかりそうなこの仕事を強力なコネを持つ一部のリサイクル業者に管理させたいのではないかと、イッサムさんや友人はいぶかしむ。

 12年間ごみを集め続けてようやく自分の倉庫を持ったエクレム・ヤサル(Ekrem Yasar)さんは「私たちは政府の施しを求めているのではありません。ただ、この仕事を奪われたら、何万人もが一文無しになるのです」と語る。ヤサルさんはまだ設立段階にあるトルコ初のごみ回収事業者組合に期待を寄せている。(c)AFP/Anne CHAON