【12月18日 AFP】ルワンダのファッションデザイナー、マシュー・ルガンバ(Matthew Rugamba)さん(32)は、米ロサンゼルスで開催された映画『ブラックパンサー(Black Panther)』のプレミア上映会で出席者の一人が着ているスーツを見て、自身のブランドの成功を悟った。俳優のルピタ・ニョンゴ(Lupita Nyong'o)さんと共にレッドカーペットに登場した弟のジュニア・ニョンゴ(Junior Nyong'o)さんが着ていたスリーピースのスーツは、ルガンバさんがデザインしたものだった。

 華やかなイベントの数時間後、ルガンバさんのブランド「ハウス・オブ・タヨ(House of Tayo)」のウェブサイトには世界中から問い合わせが殺到した。

 この出来事で「将来の展望が変わった」とルガンバさんはAFPに語る。自身が手掛ける「メード・イン・ルワンダ」のブランドがハリウッド(Hollywood)のレッドカーペットに登場したことに、いまだに驚きを隠せない様子だった。

「私たちルワンダのファッションがどれほどすてきか、発信はずっと続けてきていたのですが(中略)次の段階に進むには、時にこのような機会が必要です」とルガンバさんは言う。

 人口1300万人の内陸の小国ルワンダの首都キガリは、アフリカのファッションの中心地であるナイジェリアの最大都市ラゴス(Lagos)には及ばないものの、独自にファッションウィークを開催し、国内の富裕層や外国人移住者、旅行者など、熱心な顧客を獲得している。

 キガリらしいファッションスタイルとは、どのようなものだろうか。

 ファッションブランド「ルワンダ・クロージング(Rwanda Clothing)」を立ち上げたジョセリン・ウムトニワセ(Joselyne Umutoniwase)さんは、「モダンでエスニック。そして私たちの国のアイデンティティーに根差したもの」だと説明する。

 ルワンダのアイデンティティーは、多くの国産ブランドの中に息づいている。オーダーメードの服作りを得意とするこうしたブランドは、仕立ての際に伝統的な方法を活用している。

 従業員45人を抱えるウムトニワセさんは、「イミゴンゴ(imigongo)」と呼ばれるルワンダのアートに特徴的な幾何学模様を自身のブランドの商品に取り入れている。イミゴンゴは、牛ふんと天然の顔料を使って制作するアートだ。

 ジャケットの襟にあしらわれているビーズ細工は、王族の頭飾りなどの伝統的なアイテムではおなじみだ。

 靴ブランド「ウズーリK&Y(Uzuri K&Y)」は織物の伝統を取り入れ、編み込みスタイルのサンダルを生産している。