【12月17日 AFP】南アフリカ・ホエドスプルート(Hoedspruit)にあるリエトスプルート(Rietspruit)保護区で、性成熟前の若い雌ライオンに対する不妊手術が行われている。小規模な同保護区内には3頭しかいない、父やおじに当たる雄との交配を防ぐためだ。

 南ア各地の小規模保護区で暮らすライオンは、合わせて約700頭。過剰繁殖や近親交配を避けるため、その個体数は慎重に管理する必要がある。

 大規模な保護区であれば、広さは最大1万2000ヘクタールに及ぶ。ライオンは縄張りを守るために戦い、他の捕食動物とも餌を取り合うため、強い個体だけが生き残る。

 これに対し、5500ヘクタールのリエトスプルート保護区にいる9頭のライオンが恐れるべきものは無きに等しい。クルーガー国立公園(Kruger National Park)に近い同保護区には、天敵となるハイエナやヒョウ、チーターが少ない。3頭しかいない雄は仲良しの兄弟で、交代で雌と交わる。

 しかし、こうした恵まれた環境で自由にさせておくと、ライオンは続々と繁殖し、保護区内の獲物を食べ尽くした後は、近隣の牧場を狙うことになる。

 リエトスプルートで保護できるライオンは、現時点では9頭が限度だ。このため、母ライオンには避妊処置が施されており、若い娘4頭には不妊手術が行われる。もう1頭の雌も、既に手術を受けている。

 2010年、保護団体と各地の小規模保護区の代表らが「南アフリカ・ライオン管理フォーラム(LiMF)」を設立。全区のライオンを「メタ個体群」として共同管理していくためだ。

 同フォーラムでは、59の保護区に生息する約700頭のライオンを管理。繁殖率を調整したり、雄を入れ替えたりすることで、自然のプロセスを模倣する。慎重な管理により、このメタ個体群では年2%という維持可能な繁殖率を保っている。

 同フォーラムのサム・フェレイラ(Sam Ferreira)代表はAFPに対し、「もし管理をしなければ、個体数は年22%の割合で増えるだろう」と述べ、「非常に良い話に聞こえるが、問題は、南アフリカにはそれを受け入れられるだけの土地がないということだ」と説明した。

 野生ライオンの個体数は、世界全体で見ると急減しているが、南アフリカには世界の約17%に当たる約3500頭が生息しており、さらに増加傾向にある。

 リエトスプルート保護区の代表は「恐らく、小規模保護区では過去30年間にライオンの個体数は5割増えた」と話している。

 今後も、同保護区の雄が年を取れば他の保護区の若い雄と入れ替えられ、同時に数頭の雌の避妊が解除されることになる。(c)AFP/Sofia CHRISTENSEN