【12月15日 AFP】ブラジル・アマゾナス(Amazonas)州の小都市ボルバ(Borba)の市長は、長年対立してきた政敵とリングで決着をつけることにした。

 2人の総合格闘技の試合は12日、市内のスポーツセンターで開催された。集まった大観衆が声援する中、白熱した戦いが3ラウンドにわたり展開された。

 シモン・ペイショト(Simao Peixoto)市長は、通称ミリコ(Mirico)こと元市議会議員エリネウ・ダシルバ(Erineu da Silva)氏(39)と長年対立してきた。

 地元メディアによると、試合をするに至ったきっかけは市内の観光の目玉であるプール施設の管理をめぐり、ダシルバ氏がペイショト氏を動画で批判したことだった。その中でダシルバ氏は市長を「ぶちのめしてやる」と発言。これを受け、ペイショト氏が対戦を申し込んだ。

 ペイショト氏は総合格闘技のファンで、政治広告にグローブ姿の写真を掲載したこともある。

 インターネットに投稿された動画によると、ペイショト氏が足を踏み鳴らしながらリングに上がり、ダシルバ陣営に向かって首をかき切るようなしぐさを見せる一幕もあった。

 試合が始まると、すぐに激しい殴り合いとなったが、2人とも間もなく疲れを見せ始めた。ダシルバ氏は開始早々、右ジャブをたたき込み、ダウンを奪った。その後も足払いでダウンを取ったが、最終的にペイショト氏の判定勝ちとなった。

 2人は試合で敵意を燃やし尽くしたとみえ、最後はお互いをたたえ抱擁を交わした。

 ペイショト氏の秘書は、実際には2人は「友達だ」とコメントしている。

 ペイショト氏は試合後、対戦はスポーツ振興が目的だったと話したと報じられている。また慈善イベントでもあり、観客に食料の寄付を呼び掛けていたという。

 だが、試合には批判の声も上がっている。

 アマゾナス州の保健当局は、屋内にマスクを着用していない観客が集まったことが新型コロナウイルス感染対策のソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)の規則に違反していると指摘。市に説明を求めるとしている。

 映像は12日撮影・14日提供。(c)AFP