誘拐から14年、中国の親子が再会 映画『親愛的』のモデル
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【12月15日 東方新報】中国南部の大都市・深セン市(Shenzhen)で2007年に誘拐された男児が14年ぶりに発見され、わが子を探し続けていた親と再会を果たした。2014年に映画化された作品のモデルとなった親子で、中国で多くの反響を呼んでいる。
12月6日午後、孫海洋(Sun Haiyang)さんと彭四英(Peng Siying)さんの夫婦は警察の導きで、息子の孫卓(Sun Zhuo)さんと再会した。4歳だった孫卓さんは18歳の高校生になっていた。「14年と57日がたち、ようやくわが子に会えました」。息子を抱き締める孫海洋さん。彭さんは息子の前でしゃがみ、頭を優しくなでながら「すっかり大きくなって」と涙を流した。
湖北省(Hubei)の農村育ちの孫海洋さんは2007年10月3日に深セン市で肉まんの店を開いた。4歳の孫卓さんは10月8日から幼稚園に通い始めた。新しい人生が順調にスタートしたと思っていたが、10月9日夜、外で遊んでいた孫卓さんが行方不明となった。孫海洋さんは彭さんと午前2時からずっと仕事をしていて、疲れて仮眠をしていた。近くの防犯カメラの映像から、40代ぐらいの男が孫卓さんにおもちゃを見せて、連れ去ったことが分かった。
孫海洋さんは「子どもを返してくれるなら、売った人でも買った人でも20万元(約357万円)を差し上げる」と懸賞広告を出した。さらに肉まん店の名前を「探児子店(子どもを探している店)」と改名し、マスコミにも取り上げられた。
2014年には孫さん夫婦をモデルにした映画『親愛的(邦題:最愛の子)』が公開された。孫海洋さんの唯一の要求は「映画のクレジットに自分の携帯番号を入れてほしい」ということだった。孫海洋さんは肉まん店を廃業してタクシー運転手になり、時間を見つけては全国を回り、孫卓さんの行方を捜し続けた。
公安部は今年に入り、誘拐されて長年にわたり行方不明になっている子どもを捜す「再会運動」を展開。別の誘拐事件を捜査する中で、孫卓さんが深センから約1800キロ離れた山東省(Shandong)聊城市(Liaocheng)の家庭で育てられていることを突き止め、誘拐容疑で呉容疑者らを逮捕した。呉容疑者は親戚を通じて市内の夫婦に孫卓さんを譲っていた。
DNA鑑定で孫卓さんは孫海洋、彭四英さん夫婦の子どもと確認された。数週間前に真実を知ったばかりの高校生の孫卓さんは「本当の両親がずっと私を捜していたことを知り、心から感謝します」と話している。母親の彭四英さんは「残りの人生を息子と一緒に過ごしたい」と願っている一方、養父母に大切に育てられたという孫卓さんは「私にとってはどちらも両親です」と複雑な思いを語っている。
中国では今でも幼児誘拐が社会問題となっており、子どもがいない家庭や跡継ぎの男子を求める家庭に買われるケースが多い。映画『親愛的』で、孫海洋さんをモデルとした男性を演じた俳優の張訳(Zhang Yi)さんは「海洋兄さんを心から祝福するとともに、幼児誘拐事件が二度と起きないことを願います」とメッセージを送っている。(c)東方新報/AFPBB News