【12月28日 AFP】戦乱下で残された弾薬の爆発で子ども、おい、兄弟が命を落とした──イラク北部のハッサンジャラド(Hassan-Jalad)村では、ほとんどの家族がそんな経験を語る。

 かつてイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が拠点としていた都市モスル(Mosul)に近いこの一帯には、UXO(unexploded ordnance)と呼ばれる不発弾が散乱している。

「子どもたちのことが心配です」と語る住民のアワード・カド(Awad Qado)さん。「通っていい道や避けなきゃいけない場所を、子どもたちに教えています。地面に落ちていたものを拾わないようにとも」

 2017年、50世帯ほどのこの村で起きた地雷の爆発が、カドさん一家を襲った。家畜の群れを世話していたカドさんのおい2人が死亡。息子は負傷し、もう1人別の男性が両脚を失った。この爆発で家畜数頭も死んだ。

 国連(UN)によると、今年1月から9月の間にイラク全土で約100人の子どもが戦争残存物によって死傷している。

 イラクは世界の中でも不発弾による「汚染率」が高い国で、国民の約4人に1人がその危険にさらされていると非政府組織は指摘する。

 イラクで起きた紛争──1980年代のイラン・イラク戦争(Iran-Iraq War)から、2003年に米国が主導したイラク侵攻、2017年末のISの敗北まで──がこうした恐怖の遺産を残した。

 スイスに本社がある地雷除去会社「GCS」の現場責任者アラー・アルディン・ムサ(Alaa al-Din Moussa)氏によると、ハッサンジャラド周辺地域では1年間で1500個以上の爆発物が見つかった。

■「汚染された市街地」

 不発弾の除去は、骨の折れる危険な作業だ。処理を待つ弾薬は、砂漠地帯にある立ち入り禁止区域に集められる。 

 モスルや西部のアンバル(Anbar)州はISが拠点とした他の地域と同様、不発弾の影響が最も深刻だ。

 国連地雷対策サービス部(UNMAS)イラク事務所のペール・ロッドハマー(Pehr Lodhammar)氏は「建物が密集した市街地で汚染が目立ちます」と説明する。「危険物や爆発物による汚染のため、人々が自宅に戻って普通の生活を再開することがはるかに難しくなっています」