【12月15日 People’s Daily】中国四川省(Sichuan)にある三星堆(Sanxingdui)遺跡の考古学発掘現場は発掘用のキャビンで覆われ、ガラスでできた建物のひとつひとつを見ることができる。これは出土品の保護のために設計された「考古学の方舟」である。キャビン内は温度と湿度が一定に保たれ、縦横に張り巡らされたトラスや昇降台付きの発掘用キャリーなど、出土品の運搬と作業員のソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)にも気を使った構造だ。三星堆遺跡の発掘はハイテク技術の力を借りた学際的な「総合考古学研究」であり、現代的な科学技術と考古学の融合のありようをわれわれに見せてくれる。

 考古学の道具といえば、多くの人がまず思い浮かべるのはスコップやはけ、巻き尺などかもしれない。しかし、近年の中国では考古発掘の風景にも、現代的な科学技術が広く応用されている。清代の沈没船発掘プロジェクトであった「碗礁1号」発掘の現場では、発掘調査員には通話ができる呼吸マスクが配られ、水上と水中での無線通話が実現した。南宋時代の沈没船である「南海1号」を海中から引き揚げ、広東海上シルクロード博物館に設置する作業では、航空測量プラットフォームによってミリ単位かつ非接触で、多くの角度からスマート技術を使って空間データが取られ、構築された。三星堆遺跡の考古学調査現場では、仮設検測分析室や文化財に傷がついた場合の応急保護室、文化財保存作業室など、文物保護のための「小屋」や「考古学の方舟」が文化財のワンストップでの保護を可能にしている。今の中国考古学界では、ますます科学技術活用の重要性が明らかになっている。

 1921年10月、河南省(Hainan)ベン池県(Mianchi)の仰韶(Yangshao)遺跡の発掘から、中国の現代考古学は幕を開けた。現在、リモートセンシングやデジタル技術、スマート技術などが次第に考古学調査の中で広く応用されるようになり、3Dプリントやドローンでの空撮、DNA分析などが矢継ぎ早に登場し、地下から水中まで、探測から発掘や修復、保護、研究まで、科学技術は考古学の中でますます重要な役割を演じるようになった。

 厳格な実証に基づき、何度も論証を重ね、文化財の出所を明らかにし、文明の起源をたどり、歴史を復元していくことこそ考古学が帯びた使命と言える。現在、炭素14年代測定法を用いて私たちは文化財がいつ誕生したのかを知ることができるし、鉛同位体比分析を使えば、文化財がどこで造られたのかも分かる。科学技術が広く、深く用いられることで、考古学研究はさらに大きな領域を開いていけるのである。

 文化財を通して、人々は歴史への認識や文明への敬意、文化財の保護と継承の重要性を深く理解できる。オンラインで世界中から莫高窟(Mogao Caves)を楽しめる「デジタル敦煌」や、バーチャルリアリティーで水中の沈没船遺跡を体験できる福州市博物館のシステムなど、デジタル技術を使った文化財展示もまた、絶え間なく新しいやりかたが工夫されている。(c)People’s Daily/AFPBB News