【12月10日 AFP】欧州連合(EU)加盟国リトアニアは9日、出身国への帰国を自主的に選択した移民に支給する奨励金を増額すると発表した。同国はベラルーシから流入した移民数千人への対応に苦慮している。

 内務省によると、奨励金を300ユーロ(約3万9000円)から1000ユーロ(約13万円)に引き上げ、出身国行きの航空券も支給される。財源は、欧州委員会(European Commission)から移民危機に対応するために提供された支援金で賄う。

 EUの東端に位置するリトアニア、ラトビア、ポーランドでは夏以降、主に中東からの移民数千人が流入している。

 欧米諸国は、ベラルーシがEUによる経済制裁への報復として、中東から呼び寄せた移民をEUの東側境界に送り込んでいると非難しているが、ベラルーシ政府は否定している。

 リトアニアは今週、違法に越境した移民がこれまでに提出した亡命申請の処理を終えた。難民と認定されたのは、3272人中54人のみだった。

 リトアニア当局は、本国送還には時間も費用もかかり、出身国が受け入れを拒否することもあるため、必ずしもうまくいくとは限らないと述べている。

 また、多くの移民の出身国であるイラクとEUの間には再入国協定がなく、強制送還は難しい。そのためリトアニアは、移民の自主的な帰国を促す方法を模索している。(c)AFP