【12月10日 AFP】中国による人権侵害の疑いを調査する英ロンドンの非政府組織「ウイグル法廷」は9日、中国が新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)でイスラム系少数民族ウイグルの人口増加を妨げ、ジェノサイド(集団殺害)を行ったと結論付ける報告書を公表した。

 弁護士や人権専門家計9人から成るウイグル法廷は、亡命ウイグル人の主要団体「世界ウイグル会議(WUC)」の要請を受けて設立され、今年2回にわたり、拷問や性的暴行、非人道的行為の疑惑に関する公聴会を実施した。

 63ページに及ぶ報告書では、国際法で慣習的にジェノサイド認定の基準となってきた大量虐殺の証拠はなかったとした一方で、中国共産党がウイグル人の「大部分を破壊する意図があった」ことには合理的な疑いがないと結論。これを根拠として、中国がジェノサイドを行ったと認定した。

 ウイグル法廷は、中国共産党がウイグル人の出生率を下げるため、強制的な避妊手術や産児制限、人工妊娠中絶などの「包括的な措置」を導入したと指摘。「将来世代のウイグル人口は、こうした政策がなかった場合と比べて少なくなる。これにより、結果的にウイグル人の一部が破壊される」とし、「ジェノサイド条約(Genocide Convention)の『破壊』という言葉の用法に従うと、これはジェノサイドの証明に必要な禁止行為の要件を満たしている」と説明した。

 中国政府はこの調査結果を一蹴。「(世界ウイグル会議が)中国を中傷する政治的手段を練るため、うそつきを雇い、うわさを買い、虚偽の証言をした」と主張した。(c)AFP/Phil HAZLEWOOD