【1月3日 AFP】英スコットランド北西部沖の島にある自宅の作業場で、イアン・マッケイ(Ian Mackay)さん(51)は鮮やかな緑色のウール地を丹念に織り上げている。

 ここは、アウターヘブリディーズ(Outer Hebrides)諸島のルイス島(Isle of Lewis)。マッケイさんは自身が所有する農地の作業場で、規則的な音を立てて織り機のペダルを踏みながら、生地に織りむらがないか目を光らせる。

「手織りです。(中略)いや足織りだな」と冗談を飛ばすマッケイさん。1日10時間、ウールの紡績糸を織る。休みは日曜だけだ。

 織り上がった生地は、本物のハリスツイード(Harris Tweed)だ。世界各地に出荷される。

 ハリスツイードは長年、風の強いアウターヘブリディーズ諸島の特産品として知られてきた。生地が環境に優しく、持続可能性を備えていることから、ハリスツイードで環境に配慮した服を作ろうと考えるデザイナーも少なくない。

「急いでやって失敗したら、何にもなりません。ゆっくりと質の高い仕事をする方がいいのです」とマッケイさんは語る。

 ハリスツイードらしさは、まさにその点にある。ハリスツイードは昔から、再生ウールが交ざっていないピュアバージンウール100%で作られてきた。議会制定法によって保護されている世界唯一の生地だ。

 1993年に制定された「ハリスツイード法」では、ハリスツイードは「アウターヘブリディーズ諸島のピュアバージンウールを染色・紡績し、島民が自宅で手織りして仕上げたもの」と定めている。