【12月9日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するメルセデスAMG(Mercedes AMG)は8日、英ロンドンで多数の死者を出した大規模火災と関連がある企業との物議を醸したスポンサー契約を解消したと発表した。

 メルセデスが契約したアイルランドのキングスパン(Kingspan)社は断熱材や外壁材の生産企業で、5日に行われた第21戦サウジアラビアGP(Saudi Arabian Grand Prix 2021)決勝に出走したルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)のマシンには同社のロゴが貼られていた。

 だが同社は2017年にロンドン西部の高層住宅「グレンフェル・タワー(Grenfell Tower)」で72人が死亡した大規模火災と関連があり、英国のマイケル・ゴーブ(Michael Gove)住宅・地域社会・自治相や火災の生存者からは今回の契約に批判が集まっていた。

 ゴーブ氏は、火災に関する捜査が行われている間にメルセデスが同社と契約を結んだのは「とても残念」と述べていた。

 そうした中でメルセデスのトト・ヴォルフ(Toto Wolff)チーム代表は前週、火災の遺族を「さらに傷つけてしまった」ことを謝罪。一方で契約の見直しには言及していなかったが、チームはこの日、「メルセデスAMGとキングスパン社は、この契約を解消することに相互合意したと発表する」と明かした。

 契約はキングスパン社がメルセデスの持続可能性に関する新たな作業グループを率いる内容で、二酸化炭素の削減を目指す目的があったというが、「双方その後(中略)現時点でこの契約を前に進めるのは不適切だという結論に至った。従ってわれわれは即時解消に合意した」としている。(c)AFP