【12月9日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は8日、相次ぐ北京冬季五輪の外交的ボイコットや、中国女子テニスの彭帥(Peng Shuai)の安否が懸念されている問題で、政治的中立の立場を表明した。

 IOC理事会の2日目を終えてオンライン会見を行ったバッハ会長は、開幕が1年延期された今夏の東京五輪は「成功」であったと総括したが、その後の質疑応答では、来年2月の冬季五輪を開催する中国の話題が中心となった。

 北京五輪については同日、米国に続きオーストラリア、英国、カナダも中国の人権問題などを理由に外交的ボイコットを行うと表明した。

「選手の五輪参加」が重要な点だと強調したバッハ会長は、「政府関係者の出席は、各国政府の純粋な政治的決定である」とした。

「各国政府の政治的決定に対しては同様のコメントになる。われわれは一貫してアスリートのことを気にかけている。選手が政府の支持を受けて参加することを歓迎する。それ以外は政治の領域であり、われわれは政治的中立の立場にある」

 また、彭が中国の前副首相から性的関係を強要されたとSNSで告発した後、3週間消息を絶った問題では、これまでIOCは「静かな外交」をしてきた。IOCは彭と2度テレビ電話をしたと発表しているが、同選手の自由が保障されているか否かについては依然として懸念されている。

「彼女が抑圧されているようには感じられなかった」と話したバッハ会長は、「疑いを持つことは非常に簡単だ。疑惑はいつでも、そして何に対しても抱くことができる」と続けた。

「われわれのアプローチは、人間らしい感情を彼女と一緒に持つこと、そしてわれわれが彼女を気にかけていると保証することにある。2本の電話で彼女はこのことに非常に感謝していた」 (c)AFP