【12月8日 AFP】太平洋諸島で8日、嵐と高潮により広範囲で発生した洪水の後片付けが行われた。洪水は気候変動による海面上昇が影響しているとされる。

 マーシャル諸島、ソロモン諸島、ミクロネシア連邦で洪水が発生した他、バヌアツの遠隔地も被害を受けた。

 ミクロネシア連邦のデービッド・パニュエロ(David Panuelo)大統領は「現在進行中の極端な大潮と高潮により、全土で広範囲にわたり海水が浸水している」と述べた。

 マーシャル諸島の首都マジュロでは、空港に続く道路にも海水が及んだ。浸水は一時50センチに上ったが、現在は引いている。

 ニュージーランドのオークランド大学(Auckland University)で気候問題などを研究するマリー・フォード(Murray Ford)氏はAFPに対し、マーシャル諸島の洪水は、悪天候や大潮、ラニーニャ(La Nina)現象、温暖化の影響とされる長期的な海面上昇の組み合わせで発生したと説明した。

「こうした現象は1990年代には比較的被害が少なかったが、現在、海面が当時に比べ著しく上昇している」と語った。

 90年代にマジュロに設置された検潮器のデータによると、海面は毎年平均4.8センチ上昇しているという。

 マジュロ在住の元政府幹部ベン・グレアム(Ben Graham)氏は「残念ながら、海面は着実に上昇しており、洪水が以前より頻繁かつ広範囲で発生し、これまで以上の被害をもたらすようになるだろう。われわれは今から備える必要がある」と語った。

 南太平洋の海抜の低い島々は、気候変動により大きな影響を受けており、一部は完全に水没する危険がある。これらの地域では、熱帯性低気圧の勢力が強まっている他、干ばつや洪水の発生頻度も高まっている。(c)AFP