【12月8日 People’s Daily】「取引額が10億元(約178兆5000億円)を突破した!」——中国の全国炭素排出権取引市場からグッドニュースが届いた。7月16日の取引開始以来、市場は安定し、11月10日には排出枠の累計取引量は2344万トンに達し、取引額が10億元を超えた。

 大いに注目されていた炭素排出権取引市場には、発電産業の2162社が参加。合計45億トンの二酸化炭素(CO2)排出量をカバーする世界最大規模の取引市場であり、中国が気候変動問題に積極的に対応し、エコロジー社会を推し進めている象徴となっている。

 炭素排出権取引市場は一種の政策ツールであり、市場メカニズムを適用してCO2の排出権を商品のように取引することで、貴重な排出権を適正に配分する。取引市場は企業にCO2排出削減の責任を求めるとともに、経済的なインセンティブを通じた「見えざる手」により、技術の進歩や産業のアップグレードをもたらす。そして低コストでCO2の排出削減を達成することで、CO2の排出量を上昇から下降に転じるカーボンピークアウト、CO2の排出量を差し引きゼロにするカーボンニュートラルという目標にまい進する。

 現在、排出権取引市場は発電産業に集中しており、取引市場が徐々に発展していく最初のステップとなっている。中国の発電産業は大量の石炭を消費し、CO2を大量排出する要因となっている。一方で高度な自動化とデータ管理が進んでおり、取引市場に優先的に参入することで、環境汚染防止やCO2削減に向けた役割を果たすことができる。そうした観点から、中国ではまず発電産業から排出権の取引を開始した。

 炭素排出権取引市場の健全な運営は、多面的なアプローチを必要としている。第一に、正確なCO2排出量のデータが前提条件となる。中国では長年にわたり発電、石油化学、鉄鋼、航空などの産業でデータの集計、報告、検証が行われ、しっかりとした基盤が築かれている。発電産業による取引市場が健全に運営された後、将来的には対象範囲が拡大され、データ管理、情報開示、信用システムがさらに強化されていくことになる。

 第二に、合理的な炭素取引価格の形成が、取引市場の重要な目的となる。価格が低すぎると企業のCO2削減意欲が減退し、価格が高すぎると一部の優良企業に過大な負担を強いることになる。ある企業が削減できなかった量を別の企業が削減した量で埋め合わせるカーボンオフセットや、排出権の金融デリバティブ取引など、取引の種類を増やしていくことで合理的な取引価格を形成していく。

 炭素排出権取引市場の構築は複雑なプロジェクトであり、不断の探究が必要だ。中国のエネルギー構造、市場の状況などの国情に基づき、体系的に計画を強化し、取引市場の健全な発展を促進していく必要がある。中国はエコロジー、省エネを包括的に進める経済・社会の「グリーン転換」を促進し、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルの目標達成に向けた強固な基盤を築いている。(c)People’s Daily/AFPBB News