【12月7日 AFP】ネパールの首都カトマンズで4日、1984年に寺院から盗まれ、米国から返還されていたヒンズー教の神像が、元の場所に安置された。

 安置されたのはヒンズー教の神ラクシュミー(Laxmi)とナラヤン(Narayan)が一体化した石像で、12~15世紀に作られたもの。ネパールと米国当局などの数か月に及ぶ調査を経て、今年3月に米テキサス州のダラス美術館(Dallas Museum of Art)と米連邦捜査局(FBI)によってネパールに返還された。

 盗難から6年後、収集家が貸し出し、ダラス美術館に展示されたことで所在が判明した。

 僧侶がお経を唱え、地元市民が伝統音楽を演奏する中、マリーゴールドの花で飾られたみこしに乗せられた石像が寺院に到着。像は台座に戻され、それまで代わりに安置されていたレプリカはその横に移された。

 ネパール遺産回収キャンペーン(NHRC)のディレンドラ・ラージ・シュレスタ(Dilendra Raj Shrestha)氏によると、像を守るため、寺院にはレーザーセンサーと監視カメラが設置された。

 ネパールにはヒンズー教と仏教の寺院が数多く存在する。数百年前に作られた彫刻や絵画、飾り窓、扉は1950年代以降、盗難に遭ったものも多い。その大半は、わいろを受け取った公務員の助けを得て盗まれたもので、欧米のアート市場に流れた。

 今年だけで6点の美術品がネパールに返還された。当局は、フランス、米国、英国にさらなる返還を求めていく方針。(c)AFP