【12月8日 AFP】スペインの首都マドリード郊外で60年以上にわたり、廃材を利用した大聖堂の建設を続けてきた元修道士のフスト・ガジェゴ(Justo Gallego)氏が11月末、96歳で死去した。

 メホラダデルカンポ(Mejorada del Campo)にある大聖堂の完成は、アンヘル・ガルシア・ロドリゲス(Angel Garcia Rodriguez)神父が率いる慈善団体「平和の伝道師(Messengers of Peace)」に託された。

 故ガジェゴ氏は、30代半ばだった1961年、結核のためにトラピスト修道会(Trappist)を退会した後、家族から受け継いだ土地でプロジェクトを開始した。

 現在、「フストの大聖堂(Cathedral of Justo)」と呼ばれているこの建物は、4700平方メートルの敷地に立ち、地下祭室、二つの回廊、12本の塔があるが、中央のドーム(円屋根)は、まだ支柱がむき出しだ。

 ガジェゴ氏が建築資材として使用していたのは、建築現場からもらってきたれんがや木材などの廃材だ。プロジェクトが知られるようになって集まった寄付も利用した。柱はドラム缶を積み重ねたもので、窓には色ガラスの破片が接ぎ合わされている。

 建物の安全性評価を依頼された土木会社、カルテル(Calter)の建築技師フアン・カルロス・アロヨ(Juan Carlos Arroyo)氏はガジェゴ氏について、「今はリサイクルがはやっていますが、誰も口にしていなかった60年前にやっていたのです」と語った。長年、厳しい天候にも耐えてきた建物の構造は「ちょっとした補強」で済みそうだと話す。