【12月6日 AFP】ロシア政府は5日、黒海(Black Sea)上空で米軍の偵察機がロシアの旅客機の針路を横切り、脅威にさらしたと非難した。旅客機が急降下した結果、「大惨事」は避けられたとしている。

 これに先立ち、ロシア連邦航空局(Rosaviatsia)は4日、北大西洋条約機構(NATO)の「CL600」型偵察機が3日朝、乗客乗員142人を乗せてイスラエルのテルアビブからモスクワへ向かっていたアエロフロート・ロシア航空(Aeroflot Russian Airlines)機の針路を急降下しながら横切ったと発表した。

 アエロフロート機は距離を保つため、高度を500メートル落とさなければならなかったという。

 連邦航空局はさらに、4日にも黒海沿岸のリゾート地ソチ(Sochi)から北マケドニアの首都スコピエに向かっていた別の民間機が、異常接近した偵察機を回避するため針路変更を余儀なくされたとも明らかにした。偵察機は、管制塔からの無線連絡に応答しなかったとしている。

 連邦航空局は問題の偵察機を運用していた国について触れなかったが、ロシア外務省のマリア・ザハロワ(Maria Zakharova)報道官は5日、メッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」で、米国が運用していたものだと主張。「米空軍の行動が民間機を脅かした」と非難した。

 連邦航空局は外交ルートを通じて抗議する方針だ。

 欧米諸国はロシアがウクライナ国境に軍を集結させ、侵攻しようとしていると非難しており、双方の間で緊張が高まっている。(c)AFP