【12月9日 People’s Daily】中国西南部の貴州省(Guizhou)は60%が森林に覆われ、森林面積は耕地面積の倍以上である。貴州省では森林資源を生かした産業が行われ、利益に結びつくメカニズムを確立することで、林業を効率化し、農民の増収につなげ、エコな発展を推し進め、貧困からの脱出と地域の振興にもつながっている。

 キヌガサタケは「キノコの女王」と呼ばれ、加工品は1キロあたり700元(約1万2000円)で取引されることもある高級品種だ。貴州省納雍県(Nayong)ではキヌガサタケの栽培場が造られ、専有面積は1500ムー(約1平方キロメートル)を誇る。今年はすでに27.5トンのキヌガサタケが収穫されたという。

 他にも、林を駆け回って育った地鶏や、山にしか咲かないランの一種であるセッコクの生花など、さまざまな品目が貴州省の山間地で生産され、出荷されている。

「森林経済の発展において、われわれはすでに森林資源や空間を十分に活用しています。一方で森林資源の保護も強化され、自然と人の『ウィンウィン』の関係を実現しています」と、納雍県林業局の関係責任者は語っている。

 貴州の各地では土地柄を生かした主導産業として、キノコを始めとした栽培業やエコツーリズムなどを打ち出している。2020年、省の全域で経済利用されている森林面積は2203万ムー(約1.469平方キロメートル)にのぼり、400億元(約7000億円)の生産高を生み出している。今年の上半期、全省で1000ムー(約0.6平方キロメートル)以上の栽培面積を持つ栽培場は321か所、経済利用されている森林面積は2469.5万ムー(約1.6471平方キロメートル)に達し、上半期だけで295億7000万元(約5000億円)の生産高があった。

 大方県(Dafang)烏蒙山(Wumeng Mountain)の山腹では、気候条件に合った漢方薬の材料である天麻を栽培しており、大方の天麻は質の良さで有名である。天麻栽培トップ企業の責任者である文平(Wen Ping)氏は、「去年、私たちは展示会のための無料配布やサンプル品に80万元(約1400万円)を投入しました」と語る。展示会は天麻の売り上げにとって重要な場であり、同社は毎年、広州(Guangzhou)や上海などの沿岸都市部で行われる20か所あまりの展示会に参加してきた。しかし、今年の6月にはオンライン販売も始め、売れ行きは好調だという。同社は今後、ライブストリーミングの専門団体やプラットフォームと提携し、積極的に活用する方針だ。

 大方県の天麻産業は急速に成長している。現在、大方県に於ける天麻の栽培面積は3万ムー(約20平方キロメートル)に達し、年間生産高は1億8000万元(約31億円)に達した。天麻栽培のシェアが大きい企業は、県内に規格と作業標準を定めるような生産加工拠点を設け、生産・研究・供給・販売が一体化した産業チェーンの形成を目指す。

 貴州省は地域ブランドづくりを目玉政策に位置づけ、「大方の天麻」「織金(Zhijing)のキヌガサタケ」など国家認証を受けた地域ブランド品によって森林経済の基礎固めを行おうとしている。(c)People’s Daily/AFPBB News