【12月7日 AFP】宇宙開発により発生した無数の宇宙ごみ(スペースデブリ)が地球の周りを回っている。

 宇宙ごみの巨大な雲の高度は地表から800~2000キロ。

 宇宙開発が始まった1957年以降、5000回を超えるロケットの打ち上げや約290回の軌道上での爆発などによりごみが蓄積されてきた。

 古いロケットや人工衛星、宇宙飛行士が紛失した工具、さらには塗料の小片でさえ、有人飛行や有人ステーションといった将来の宇宙開発にとって深刻な脅威となる。

 宇宙船に搭載のセンサーの多くは微細な宇宙ごみしか検知しないが、ごみは時速約2万8000キロという高速で移動しており、衝突すれば深刻な被害が出る恐れがある。

 国際宇宙ステーション(ISS)は、宇宙ごみとの衝突を回避するため、これまでに十数回の軌道変更を行っている。

 地球周回軌道にある多数の観測衛星や通信衛星にも衝突の恐れがある。

 巨額の費用を投じた気象観測装置、航法・通信システムも危険にさらされている。

 最も懸念されるのは、衝突が連鎖的に起きる「ケスラー・シンドローム(Kessler Syndrome)」という状況に陥ることだ。

 10センチを超える宇宙ごみは、レーダーや望遠鏡によって地上から監視・追跡されている。中にはバスと同じくらいの大きさのものもある。

 衝突の脅威に備えて各国の宇宙当局はガイドラインを設けているが、宇宙ごみを除去する有効な手段はまだ確立されていない。

 欧州連合(EU)が40億ユーロ(約5200億円)を拠出し、米航空宇宙局(NASA)や各国の大学も参加するSTARDUSTプロジェクトでは、宇宙ごみの軌道変更、または除去に向けて対策を講じ、宇宙ごみと小惑星の両方の脅威に対処できるよう取り組みを進めている。(c)AFP