【12月4日 AFP】赤十字(Red Cross)は3日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の出現は、ワクチン接種率における各国間の格差の危険性を示す「究極の証拠」だとの考えを示した。

 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のフランチェスコ・ロッカ(Francesco Rocca)会長はロシア・モスクワでAFPのインタビューに応じ、「科学界は、ワクチン接種率が非常に低い地域で新変異株が発生する危険性について、何度も国際社会に警告してきた」と指摘した。

 国連(UN)の統計によると、高所得国では人口の約65%が新型コロナウイルスワクチンを少なくとも1回接種しているのに対し、低所得国での接種率はわずか7%余り。欧米諸国はワクチンの囲い込みを非難されており、世界保健機関(WHO)は、世界で大勢の人がまだ一度も接種を受けていないことから、追加接種の提供を控えるよう呼び掛けている。

 ロッカ氏は、「これは欧米諸国の利己的な方針であり、非常にやみくもだ」と批判。「われわれが相互につながっていることをいまだに理解していないのは、信じられない。だからこそ、私はオミクロン株を究極の証拠と呼んでいる」と語った。

 変異の程度が大きいオミクロン株は、南アフリカが11月25日に感染例を発表。以来、30か国以上で感染が確認されている。各国は渡航制限を相次いで導入し、世界経済の回復に影を落としている。欧州では、今後数か月間で新規感染者の半数以上をオミクロン株が占めるようになる可能性があるともされている。(c)AFP