【12月4日 AFP】南アフリカの医療関係者は3日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大後、子どもの入院例が急増したことを明らかにした。ただ、子どもが同株に感染しやすいかどうかはまだ分からないと強調している。

 先週、オミクロン株について世界に警鐘を鳴らした南アフリカではその後、過去に起きたコロナ流行の第1~3波を上回るペースで感染が拡大。最初のクラスター(感染者集団)は主に大学生だった。感染はその後、若者の間で急速に広がり、年齢が上のグループにも広まったとみられる。

 だが科学者や医療関係者によると、5歳未満の入院例が増加しており、10~14歳の子どもの陽性率も上がっている。国立伝染研究所(NICD)のワシラ・ジャサット(Waasila Jassat)氏は記者会見で、入院例は全年齢層で急増しているが、特に5歳未満で顕著だと説明。5歳未満の入院件数は、60歳以上に次ぎ2番目に多いと語った。

 この原因はいくつか指摘されている。その一つとして、同国では12歳未満の子どもにワクチン接種が認められていないことがある。ジャサット氏によると、陽性が確認された親子は子どもと親の両方がワクチンを接種していなかったと医師たちは報告している。

 NICDの公衆衛生責任者ミシェル・グルーム(Michelle Groome)氏は、最大都市ヨハネスブルクと首都プレトリアが位置するハウテン(Gauteng)州での感染拡大のペースは新型コロナウイルス流行が始まって以来最高だと指摘。現在あるデータからは「オミクロン株は感染力が高く、一定の免疫回避能力もあることが示唆されている」と述べた。

 同国の研究チームは2日、オミクロン株の再感染リスクがデルタ株やベータ株の3倍だとする論文を発表している。感染者の症状は概して軽度だが、グルーム氏は、今後2週間の経過をみないと重症化例の有無は分からないと警告している。

 同国では3日、過去24時間の新規感染者数が1万6055人に増加し、累計感染者数は300万人を超えた。(c)AFP