【12月6日 Xinhua News】中国国家航天局は1日、中国の火星探査機「天問1号(Tianwen-1)」と欧州宇宙機関(ESA)の火星探査機「マーズ・エクスプレス(Mars Express)」の両チームが協力し、火星探査車「祝融号(Zhurong)」とマーズ・エクスプレスの周回機との中継通信試験を実施して成功したことを明らかにした。

 双方は試験に先立ち、それぞれの探査機に試験の準備を整えるようコマンドを送信。約束した時間に祝融号からマーズ・エクスプレスに試験データを送った。通信距離は約4千キロ、通信時間は10分間に及んだ。マーズ・エクスプレスが受信したデータは、ESAの深宇宙観測ステーションに送られ、そこから欧州宇宙運用センター(ESOC)を経由して北京宇宙飛行制御センターに転送された。

 火星探査車は重量や体積の制約があり、地上と直接通信する能力が弱く、データを大量に伝送できないため、近い距離で飛行する火星軌道周回機にデータを送り、通信能力の高い周回機から地上の受信システムに転送する。この過程を中継通信と呼ぶ。

 専門家によると、一般的には中継通信を確立する前に周回機から火星探査車に「開始」の信号を送り、火星探査車から「確認」の信号が返ってきてから、安定した双方向の中継通信リンクを確立する。マーズ・エクスプレスと祝融号の周波数は一致しておらず、電話をかけるように通信リンクを確立できないことから、双方は周波数を合わせるため事前に通信時間を約束する必要があるという。

 双方のチームはデータの判読・分析結果を踏まえ、試験は成功したと結論付けた。今回の試験を基にして、今後も科学データの中継通信で協力していく考えを示している。(c)Xinhua News/AFPBB News