【12月11日 AFP】1979年のイラン革命まで、パーレビ(Pahlavi)王朝はぜいたくな生活を送り、誰も見たことがないような高級車を愛好していた。

 革命から約半世紀、王室メンバーに愛された車の数々がこのほど、イランの自動車博物館「Iran Historical Car Museum」で公開された。展示開始以降、会場には多くの人が足を運んでいる。

「これらの車はイランの文化遺産の一つだと考えています」と館長のムハンマド・ファアル(Mohammed Faal)氏は語る。「これは王朝のものではなく、国民のものです」

 博物館は、パーレビ王朝から接収の資産を管理するボンヤード・モスタザファン(Bonyad Mostazafan)財団によって運営されている。

 館内には高級車がずらりと並び、中には複数の自動車メーカーが協力して完成させた車もある。

 パーレビ(Mohammed Reza Pahlavi)国王がドイツの技術を好むことを知っていたメルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)、ポルシェ(Porsche)、フォルクスワーゲン(Volkswagen)の3社は、1972年に各社の技術を結集し、全く新しい車を手掛けた。「MPVテヘラン(MPV Tehran)」だ。

 鮮やかなオレンジ色のMPVテヘランは、12歳だったレザ(Reza Pahlavi)皇太子(当時)が運転を覚えるためのプレゼントだった。

 MPVテヘランには二つのエンジンキーがある。銀のキーでは、スピードが時速30キロ以下に抑えられ、金のキーでは時速170キロで走行することができる。

 会場を訪れたファルザネさん(55)は、「革命後に残った貴重なものが一堂に集まるこの場所が好きです」と話し、「われわれの歴史を教えてくれます」と続けた。

 会場には、自動車55台、馬車2台、オートバイ4台が展示されている。