【12月3日 Xinhua News】中国江蘇省(Jiangsu)南京市(Nanjing)にある東南大学の教員と学生による研究チームがこのほど、同大学の校訓「止于至善」をDNA配列に保存することに成功し、DNAストレージ技術を新たに進展させた。研究成果は国際的科学誌「Science Advances」に掲載された。

 東南大学生物電子学国家重点実験室の劉宏(Liu Hong)教授は、ビッグデータの時代には、より大容量で高速なデータ保存形式への要求が高まっており、DNAストレージ技術は生物のDNA分子を塩基配列に変換することで、DNAに情報を保存するものだと説明した。

 その上で、「現在、海外のDNAストレージ技術は主に、成熟した技術や製品を使用しており、DNAの合成とシーケンシングの手順は別々に分かれ、大型の測定装置が必要で、操作も比較的複雑になっている」と指摘。研究チームが独自開発により、DNAの合成とシーケンシングの手順を一体化し、測定装置の小型化も実現した」と述べた。

 研究チームは従来の化学合成法を改良し、電気化学的手法を用いて、東南大学の校訓「止于至善」の4文字をDNA配列に「翻訳」し、電極に保存した上で、読み取ることに成功した。

 劉氏は「現在、海外で主流となっているDNAストレージ技術が直面している主な障害の一つは読み取りの難しさで、DNAシーケンス全体を一度測定しなければならず、途中の一部分から直接読み取ることが難しい。しかも操作には液体試薬が必要で、使いやすいとは言えない」と指摘した。研究チームは複雑なDNA配列を別々の電極に固定し、特定の部分の情報を読み取る場合は、対応する電極を見つけ出すだけで済むようにした。

 チームは今後、液体試薬への依存から完全に脱却するため、完全固定化形態のDNAストレージ装置の開発を目指している。劉氏は「DNAストレージ、量子コンピューティング、量子通信は全て最先端テクノロジーに属する。われわれは電子情報技術とバイオテクノロジーの融合に取り組んでおり、将来的にはデータストレージ分野だけでなく、ウイルス核酸検査などにも応用が期待できる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News