【12月3日 AFP】米大リーグ機構(MLB)と選手会(MLBPA)の労使交渉が決裂し、ワールドシリーズが中止された1994年以来の突入となったロックアウトは、2022年シーズンの開幕まで長引く可能性がある。

 これまでの労使協定が失効し、各チームのオーナーが選手たちを球団施設から閉め出した当日、双方は時期を見て話し合いのテーブルに戻る可能性を示唆していたものの、その間にはかなりの険悪なムードが漂っていた。

 MLBのロブ・マンフレッド(Rob Manfred)コミッショナーは2日未明、「2022年シーズンを守るための最善の仕組み」として、ロックアウトを宣言した。

 しかし、MLB公式サイトの最新コンテンツから現役選手全員の名前や顔写真が削除され、ロスターのページでは選手の写真が黒いシルエットに変更されると、選手側はあからさまに反発。多くの選手がSNSアカウントのアバターをシルエットに変更し、「#NewProfilePic(新しいプロフィール画像)」のハッシュタグをつけて対抗した。

 何の進展もないまま決裂に至った交渉が行われた米テキサス州ダラス(Dallas)郊外で、2日に記者会見に臨んだマンフレッド氏は、ロックアウトの目的は交渉に緊迫感をもたらすためだと説明し、「合意に至るためには、重圧が必要なときもある」と述べた。

「率直なところ、今週の話し合いで相手側からは危機感を覚えなかった。法律(全国労働関係法)の下で利用できる唯一の手段は、経済的な影響力を働かせることだ」

 ロックアウトに突入することで、MLBではフリーエージェント(FA)の移籍市場が停止し、チームとMLBPAに加入している選手の交渉が禁止されるほか、選手たちが球団施設を使用することもできなくなる。

 MLBPAのトニー・クラーク(Tony Clark)専務理事は、今回のロックアウトについて「極端かつ不必要」であると批判。コミッショナーがロックアウトを宣言した「ファンへの手紙」には「虚偽の説明」が含まれているとも指摘した。

「あのような手紙に手間をかけるより、部屋での交渉に多くの時間をかけた方が、このプロセスには有意義だったことだろう」

 現在はオフシーズンで活動休止状態にあるとはいえ、オープン戦が行われるようになる来年2月末になれば、双方が大きな財政面の窮地に陥ると感じ始める。

 同3月31日に開幕するレギュラーシーズンまでに交渉が何もまとまらなければ、100億ドル(約1兆1300億円)規模という産業のMLBは大打撃に見舞われることになる。

 マンフレッド氏は「双方がテーブルに戻り、合意に至ることを願っており、そう期待している」と話し、「現時点で最終期限を推測することは生産的ではないので、やめておく」と続けた。(c)AFP