【12月3日 AFP】米国、カナダ、欧州連合(EU)と英国は2日、政治的理由で移民危機をあおったとして、ベラルーシの当局者や企業に追加制裁を科し、強権的なアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)政権への圧力を強めた。

 制裁の対象には、治安・司法関係者、著名ジャーナリスト、ルカシェンコ大統領の次男、防衛関連企業、大手肥料輸出会社が含まれる。さらに、政府と協力して中東からの移民数千人をポーランドやリトアニアの国境地帯に呼び寄せ、移民・人道危機を引き起こしたとされる国営航空会社ベラビア(Belavia)や旅行会社、ホテルも対象になった。

 EUと各国は共同声明でルカシェンコ政権に対し、「EUとの境界を越える非正規移動の画策を直ちに完全に中止する」よう要求した。

 共同制裁は5度目で、対象者には資産凍結、渡航や商取引の制限が科される。米国の制裁は、対象となった企業や個人の世界金融システムからの締め出しが狙い。

 ルカシェンコ氏は昨年の大統領選で6選を決めたが、選挙不正の疑惑が浮上して抗議デモに発展。米国、EU、英国、カナダは、ルカシェンコ氏によるデモ隊弾圧をめぐり、ベラルーシへの制裁を拡大してきた。

 ベラルーシ政府はこれに対する報復として、主にシリア、イラク、イエメン出身の移民を首都ミンスクに航空機で呼び寄せ、EU加盟国の国境に向かわせたとされるが、ルカシェンコ氏は移民流入の責任を否定している。(c)AFP/Paul HANDLEY