【12月13日 AFP】アルジェリアのハキム・アリレッチェ(Hakim Alileche)さん(48)は、「魔法の薬」と呼ばれるオリーブオイルを作るため、成功を収めていたグラフィックデザインの仕事を辞め、郊外に移住した。アリレッチェさんのオーガニックオリーブオイルは今、日本を含め世界でその品質が認められている。

 約40ヘクタールの農園には1万5000本以上のオリーブが植えられており、うち9000本が実をつけ始めている。アインウセラ(Ain Oussera)高原を選んだのは、土地の値段が安く、水が豊富なためだという。

 アリレッチェさんのオリーブオイルは今年5月、「ジャパンオリーブオイルプライズ(JOOP)」で銀賞を受賞した。受賞について「自分たちのやり方が正しいのだと再確認した」と語った。

 アルジェリアでオリーブは「聖なる木」と呼ばれている。

 アリレッチェさんがオリーブを少しずつ植え始めたのは2005年。オリーブオイルの製法は、ボスニア・ヘルツェゴビナやギリシャ、フランス、イタリアで学んだ。

「この農園のオリーブの木に化学的処理を行ったことは一度もない。なんとしてもこの状態を維持するつもりだ」とアリレッチェさんは話す。「オリーブは食べものであり、薬でもある」

 アルジェリアではオリーブの収穫は通常11月半ば以降に始まるが、アリレッチェさんは毎年その前に収穫している。「早めに収穫することで、天然の酸化防止作用といったすべての恩恵を得ることができる」と説明する。

 オリーブの実は木を傷めないように手作業で枝から落とし、地面に敷いた防水シートに落ちた実をかごに入れる。収穫したその日のうちに搾油することで、酸化を防げる。

 完熟オリーブから採れる油は100キロ当たり18リットルだが、早摘みオリーブからはわずか8リットルしか採れない。

 アリレッチェさんのオリーブオイルのブランド名「ダフビア(Dahbia)」は、母と妻の名前にちなんでいる。酸度(数値が低いほど品質が高い)は0.16%と、エキストラバージンオリーブオイルの基準である0.8%の5分の1だ。

 アリレッチェさんによると、製造過程では生態系全体を尊重しており、環境汚染はなく、化学肥料も使っていない。(c)AFP/Abdellah CHEBALLAH