■ニジェールは植樹で貢献

 ニジェールは主にユーカリやマメ科のバウヒニアの植樹によって「緑の壁」プロジェクトに貢献している。どちらも干ばつに強く、高さ12メートル程度まで成長する。村人は盛り土をして苗木の周りに雨水をため、日照り続きでも生育できるようにした。

「葉や実はタンパク質が豊富で、家畜の飼料に適しています」と言うのはシミリの農民、ガルバ・ムサ(Garba Moussa)さん。「調理したり干したりしておいて、厳しい食糧難の時には私たちも非常食として食べます」

 首長のアダモウ氏によると、シミリの植樹事業が始まった2013年以来、狩猟動物やキリンまでもが柔らかいアカシアの葉を食べるために、首都ニアメー南方の生息地からはるばる移動して来る。

 国連環境計画(UNEP)によると、ニジェール南部の森林は総面積の3分の1が消失し、今では国土のわずか1~2%を占めるだけだ。

「緑の壁」プロジェクトのニジェール事務局長、マイシャロウ・アブドゥ(Maisharou Abdou)氏によると、目標は2030年までに360万ヘクタール、つまり国土の37.5%を緑化することだ。昨年までに目標全体の8~12%は達成したが、計画は「長距離レースだ」と強調した。