【12月11日 AFP】西アフリカ・ニジェールの南西部。かつては荒涼としていたシミリ(Simiri)の台地が、今ではちょっとした動植物の楽園となっている。

 アカシアの実をヤギがかみ砕き、地面にはリスやヤマウズラの足跡が点々と残る。木の枝にぶら下がるカマキリ。青々とした草をむさぼるバッタの群れ。

「小さな森林が奇跡的に生き返りました」。シミリ地区の首長ムサ・アダモウ(Moussa Adamou)氏は誇らしげだ。

 この変化をもたらしたのは、アフリカ連合(African Union)が推進する「巨大な緑の壁(Great Green Wall)」プロジェクトだ。西はセネガルから東はジブチまで全長約8000キロ、総面積1億ヘクタールの乾燥地を植樹などで2030年までに緑化する計画で、ニジェールも含まれている。

 耕作可能な土地は、内陸国ニジェールにとって極めて貴重だ。国土の4分の3が砂漠で覆われている一方で、人口の80%が自給農業に頼っているからだ。

 世界銀行(World Bank)の予測では、ニジェールの人口は2019年の2300万人から2030年には3000万人へ、さらに2050年には7000万人に達する。つまり「緑の壁」の重要度は増すばかりだ。