【12月2日 AFP】飛んできた鳥が木の枝に止まる様子にヒントを得て、米スタンフォード大学(Stanford University)の工学チームが、鳥のように足で物体をつかんだり、さまざまな場所に着地したりできるドローン搭載型ロボットを開発した。

 捜索救助活動など従来の技術ではドローンを空中待機させる必要があった場面で電力を節約できるようになるほか、森林での研究データ収集も容易になると期待される。

 研究結果は学術誌「サイエンス・ロボティクス(Science Robotics)」に掲載された。

 論文を共同執筆したデービッド・レンティンク(David Lentink)氏は、「どこにでも着地できるようにしたい」とAFPに語った。

 数百万年をかけて進化してきた鳥の飛び方や止まり方をまねするのは容易ではない。枝の太さや形状、質感は千差万別で、地衣類やコケに覆われていたり、雨で滑りやすくなっていたりする。

 研究チームは、木、発泡スチロール、研磨紙、フッ素樹脂など太さや素材の異なる止まり木を用意し、小型のオウムが着地する様子をハイスピードカメラで撮影・分析した。止まり木にはセンサーを設置し、鳥が着地する時、足で止まり木をつかむ時、飛び立つ時の力の大きさを計測した。

 この結果、鳥はどの止まり木に対しても同じように接近し、着地の瞬間に足を使ってさまざまな変化に対応していることが分かった。鳥は爪を丸めて止まり木につかまり、しわのある柔らかい足指の肉趾(にくし)を滑り止めにしていた。

 次に、研究チームはハヤブサの足をモデルに、回転翼を4枚備えた小型ドローン用の把持装置を設計。3Dプリンターで作製した骨格に、筋肉や腱(けん)の代わりにモーターと釣り糸を使用し、20回の試作を経てロボットを完成させた。

 ロボットの足が止まり木をつかむ動作に要する時間は20ミリ秒。足が枝に巻き付くと同時に、右足にある加速度計が着地したことをロボットに伝え、バランスを調整するアルゴリズムが起動して、鳥と同じように前傾姿勢を取って落下を防ぐ仕組み。

 完成した鳥ロボットは、お手玉やテニスボールなどを空中で見事にキャッチし、オレゴン州の森林での実証実験でも着地に成功した。

 レンティンク氏は研究について、鳥類形態学にも新たな知見をもたらす可能性があると語っている。(c)AFP/Issam AHMED