■設計図はなし

 アロヨ氏によると、英国の著名な建築家ノーマン・フォスター(Norman Foster)氏は2009年、スペインで授賞式が行われた際にこの聖堂を訪れ、賞をもらうべきなのはガジェゴ氏の方だと本人に伝えたという。

 ガジェゴ氏は正式に建築を学んだことがなく、作業は設計図無しで進められた。建物の頑丈さを考えると、これは驚くべきことだ。ガジェゴ氏は生前のインタビューでは常に、大聖堂計画の詳細は「自分の頭の中」にあり、「すべては天から下りて来る」と語っていた。

 ガジェゴ氏の聖堂が立っているのは、アントニ・ガウディ通り(Avenida Antoni Gaudi)。東部の大都市バルセロナ(Barcelona)を象徴する未完の大聖堂サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)の設計者の名を冠した道だ。

 サグラダ・ファミリアとは異なり、フストの大聖堂はローマ・カトリック教会から教会として正式に認められていない。

 プロジェクトを引き継いだロドリゲス神父は、ホームレスの人々に食事を提供するレストランの運営やマドリード中心部の教会でのペット受け入れ、タブレット端末iPadを使った告解などでスペイン国内では有名だ。

 ロドリゲス神父は、この大聖堂をすべての宗教に開かれた空間とし、貧困層の支援に活用したいと考えている。「どこにでもあるような一般的な聖堂ではなく、祈りをささげるために足を運び、困難に直面したときにも訪ねてもらえる社会的な拠点になるでしょう」 (c)AFP/Alfons LUNA