【12月2日 AFP】米国のプラスチックごみの排出量は世界で最も多く、他国を大きく上回っていることが、1日に米政府に提出された報告書で明らかになった。悪化するプラごみ問題に対処するため、全米レベルでの対策を求めている。

 報告書によると、米国の2016年のプラごみ排出量は約4200万トンだった。中国の2倍以上に相当し、欧州連合(EU)加盟国の合計よりも多い。

 米国人1人が1年間に排出するプラごみの量は130キロ。次いで英国人が99キロ、韓国が88キロとなる。

 報告書「世界の海洋プラスチックごみに対する米国の責任の推計(Reckoning with the U.S. Role in Global Ocean Plastic Waste)」は、2020年12月に成立した海洋漂流物に関する法律で提出が義務付けられた。

 報告書を作成した専門家委員会の座長を務めた、モントレーベイ水族館(Monterey Bay Aquarium)の科学責任者マーガレット・スプリング(Margaret Spring)氏は、プラごみ問題は「環境的・社会的な危機」だと指摘。内陸・沿岸地域の共同体に影響を及ぼし、川や湖、浜辺を汚染し、社会に経済的負担を掛け、野生動物を危険にさらし、食料生産に欠かせない水を汚染していると述べた。

 報告書によると、世界のプラスチック生産量は1966年の2000万トンから、2015年には20倍の3億8100万トンに膨れ上がった。

 1000種近くの海洋生物がプラスチックに絡まったり、マイクロプラスチックを飲み込んだりする危険があることも分かっている。海洋生物に取り込まれたプラスチックは、食物連鎖をへて人間の口に入ることになる。

 世界全体で毎年800万トンのプラごみが海に流入しており、その量は「毎分トラック1台分のプラごみを海に投棄するのに等しい」と報告書は指摘。現在のペースが続けば、2030年までに海に流入するプラごみは年5300万トンにまで増加する可能性があるとしている。これは年間漁獲高の約半分に当たる。

 報告書は、全米レベルでの規制を設けるなど新しいプラスチックの生産自体を減らすことを提案している。(c)AFP/Issam AHMED