■氷がない

 ホッキョクグマは高脂肪、高カロリーのワモンアザラシやアゴヒゲアザラシを主食としているが、卵や鳥、齧歯(げっし)類、イルカを餌にすることも知られている。

 それでも新しい食習慣が、ホッキョクグマの個体数維持に変化をもたらすことはないとの見方を示す専門家もいる。

 カナダ野生生物局(Canadian Wildlife Service)のイアン・スターリング(Ian Stirling)教授は、「トナカイの捕食に時折成功することは、1、2頭のクマにとっては(そしてメディアにとっても)短期的に有益かもしれないが、ホッキョクグマやトナカイ全体の個体数から見れば、ほとんど意味をなさない」と言う。

 また、アルバータ大のデロシェール教授も、スバルバルのホッキョクグマにとって未来は暗いと悲観的だ。

 同氏は、「ホッキョクグマの個体数を維持するために必要なだけの氷がない」ことを指摘し、「この傾向が続くなら、スバルバルを含むバレンツ海(Barents Sea)に生息するホッキョクグマは、今世紀中に消滅するのではないかと懸念している」と話した。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES