【12月1日 Xinhua News】中国の蘇州大学は28日、同大学放射線医学・放射線防護国家重点実験室の柴之芳(Chai Zhifang)院士(アカデミー会員)と王殳凹(Wang Shuao)教授のチームが、新たな水蒸留処理技術とイオン状放射性核種を選択的に除去する吸着材料をそれぞれ開発し、放射線汚染水の高度な浄化に技術的支援を提供したと明らかにした。

 王氏によると、現在、放射線汚染水処理にはまだ一連の科学的、技術的ボトルネックが存在し、特に放射性核種の総排出量を抑制する問題は、未だに効果的な解決方法が見つかっていない。王氏は「原発事故の廃水に含まれるトリチウムは活量が比較的低く、廃水の量が非常に多いので、希釈して排出した場合も、生態環境に与える影響は計り知れない」と指摘した。

 柴氏のチームは、水蒸留技術と同位体触媒交換技術を組み合わせ、高い処理能力と安定性という優位性を持つ、高効率の新たな水素同位体蒸留分離技術を開発。これにより、汚染水中のトリチウムを1リットル当たり10万ベクレルから10ベクレル以下まで減らし、トリチウム廃水処理の難題解決に貢献した。

 同処理技術はすでに応用段階に入っている。国際的な類似技術と比較して蒸留効率が40%向上しており、エネルギー消費量と処理コストを効果的に削減しつつ、トリチウムの総排出量を抑制できる。

 この他、ヨウ素129やストロンチウム90、セシウム137、プルトニウム239、ウラン238、テクネチウム99など、放射能汚染で注意すべき数種類のイオン状放射性核種についても、チームは一連の除染材料とプロセスを開発し、選択的な高度浄化への利用を可能にした。(c)Xinhua News/AFPBB News