【12月1日 People’s Daily】2021年11月8日、火星探査機「天問1号(Tianwen-1)」周回機が5回目の火星接近制動に成功し、正確にリモートセンシングミッション軌道に入り、火星全体のリモートセンシング探査を展開する。

 この前、火星探査車「祝融号(Zhurong)」が既に既定のリモートセンシング探査ミッション目標を円満に達成し、コンディションは良好で、引き続き探査ミッションを行う。周回機のリモートセンシング探査と火星探査車の中継通信の需要を総合的に考慮し、プロジェクト研究チームは軌道設計を最適化し、近火点(火星から最も近い点)が約265キロ、遠火点(火星から最も遠い点)が約1万700キロ、周期が約7.08時間のリモートセンシング軌道案を確定した。周回科学探査の展開を確保すると同時に、火星探査車により多くの中継通信サポートを提供し、ミッションの展開効率を高めていく。

「天問1号」は5月15日に周回機と着陸巡視機の分離を完了し、後者は火星への着陸に成功した。その後、周回機は中継軌道に変え、4か月余りの火星探査車への中継ミッションを遂行した後、先日近火点でリモートセンシング軌道に順調に変えた。

 専門家によると、中継軌道は火星日ごとに3周する帰還軌道で、火星日ごとに着陸地点の上空を通過するため、1火星日に火星探査車の近火と遠火の2回の中継通信が可能となる。リモートセンシング軌道は中継軌道より周期が短く、各火星日が約3.47周を周回し、異なる火星直下点を通過することで、異なる地域の探査を実現する。

 リモートセンシングミッション作業中では、周回機ペイロードは軌道高度が低いところで火星の高解像度観測が可能となる。軌道の摂動による近火点ドリフトを利用し、周回機がリモートセンシング軌道で火星全体をカバーできる。一般的に、近火点ドリフトは南から北へ、さらに北から南へと進むため、約200日に1度の割合で火星全体をカバーすることが可能だ。

 リモートセンシング軌道で、周回機は携帯の中解像度カメラ、高解像度カメラ、次表層探査レーダーや鉱物スペクトラムアナライザー、磁力計、イオンと中性粒子分析器、エネルギー粒子分析器が計7台のペイロードを利用し、全体的・総合的な火星科学探査を実施する。また、火星探査車の可視弧区間により、火星探査車に中継通信サービスを引き続き提供していく。

 情報筋によると、周回機はリモートセンシングミッション軌道で14か月間運行する見込みで、リモートセンシング探査を通じて、火星の地形と地質構造、表面物質成分と土壌の種類・分布、大気電離層、火星空間環境などの科学データを取得する。特にクレーター、火山、峡谷、干上がった河床などの典型的な地形と地質ユニットに重点的に高解像度探査を実施する。

 これまでのところ、周回機は軌道上で473日間稼働し、地球から火星までの距離は3億8400万キロ、光の速度によって測った距離は21分20秒。火星探査車は火星の表面で174火星日、計1253メートルを運行した。両設備のコンディションは良好で、各システムの稼働状況は正常だという。

 2021年9月下旬から、天問1号は地球との通信が太陽放射に妨害され、不安定で一時中断した。この間、天問1号と祝融号は自主運行モードに入り、科学探査作業を一時停止した。中国国家航天局の10月22日の情報によると、太陽雑音妨害はこのほど終了した。探査機と地球の間の通信は正常に回復した。リモートセンシングデータを分析した結果、天問1号は太陽雑音妨害期間でも正常な運行を保ち、初めての妨害を無事に乗り切ったという。(c)People’s Daily/AFPBB News