【11月30日 AFP】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は29日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」をめぐる各国の渡航制限によるアフリカ南部の孤立に「深い懸念」を表明した。

 グテレス氏は声明で「アフリカで利用できるワクチンが倫理に反するほど少ないことについて、アフリカの人々を責めることはできない。重要な科学や保健に関する情報を特定し、世界と共有することで罰せられるべきではない」と指摘し、新たな渡航制限による「アフリカ南部諸国の孤立を深く懸念する」と表明した。

 オミクロン株はすでに欧州やアジア、北米でも確認されているにもかかわらず、各国が入国制限で対応していることを受けて、グテレス氏は、渡航者に複数回検査を実施するなど入国制限以外の措置を検討するよう呼び掛けた。

 世界保健機関(WHO)はオミクロン株の世界的なリスクは「非常に高い」と警戒を呼び掛ける一方、WHOのアフリカ地域事務局長は入国制限措置を「世界的な連帯を損なう」と非難した。

 オミクロン株を最初に発見・報告した南アフリカの当局者は、オランダや英国、カナダ、香港など世界各地で確認されている同株を特定したことで「罰せられている」と述べた。アフリカ南東部マラウイのラザルス・マッカーシー・チャクウェラ(Lazarus McCarthy Chakwera)大統領は、欧米諸国による渡航制限を「アフロフォビア(アフリカ嫌悪)」だと非難した。(c)AFP