【11月30日 AFP】先進7か国(G7)保健相は29日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」に関する緊急会合を開き、感染拡大の防止に向けた「緊急行動」を呼び掛ける共同声明を出した。

 感染力の強いオミクロン株は先週、アフリカ南部で初の感染例が発表されて以降、欧州とアジア、北米へと急速に広がっている。

 死亡例はまだ報告されておらず、感染力やワクチン耐性の詳細も不明だ。しかし、新変異株の出現は、初の新型ウイルス感染例が報告されてから約2年が経過した今もなお、世界が同ウイルスに脅かされていることを浮き彫りにした。

 西欧諸国を中心とした多くの国では現在、新型ウイルスの感染が急激に拡大している。政府はマスク着用の義務化やソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)、外出禁止令、ロックダウン(都市封鎖)などの措置を再び導入。企業や事業主の間では今年も厳しいクリスマスシーズンとなるとの懸念が広まっている。

 今年のG7議長国である英国が招集した緊急会合後、各国の保健相は共同声明で、「国際社会は、一見して感染力の強い新変異株の脅威に直面しており、緊急行動が必要だ」と言明した。

 オミクロン株の出現を受け、各国政府は水際対策を相次いで導入している。29日には、日本がイスラエルに続き、すべての外国人の新規入国を原則禁止すると発表。オーストラリアは来月1日に予定されていた熟練労働者と留学生の入国制限緩和を2週間延期すると発表した。

 英国やインドネシア、オランダ、サウジアラビア、米国など、アフリカ南部への渡航制限を課す国も増えている。だが国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は、「アフリカでのワクチン供給が倫理に反するほど低いことについて、アフリカの人々を責めることはできない。重要な科学・健康関連情報を特定し、世界と共有したことで罰せられるべきではない」と指摘した。

 中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は29日、ワクチンが十分に行き届いていないアフリカに対し、10億回分のワクチンを提供すると表明した。(c)AFP