【11月29日 AFP】フランスで、来年の大統領選への出馬が取り沙汰されている極右のコメンテーター、エリック・ゼムール(Eric Zemmour)氏が27日、訪問先の南部マルセイユ(Marseille)で市民から中指を立てるしぐさを見せられ、同じジェスチャーで応じた。ゼムール氏を批判する人々は、同氏の選挙運動が破綻し始めた兆しだと指摘している。

 ゼムール氏は、正式な立候補には至っていないものの積極的な政治活動を展開しており、出馬は確実視されている。過去の世論調査では、現職のエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領との決選投票に進む可能性を示唆する結果も出ていた。

 しかし直近の世論調査では、ゼムール氏を抑えて、極右政治家として知名度の高い国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首の支持率が上がったことから、ゼムール陣営内で緊張が高まっている。

 ゼムール氏は27日、マルセイユでレストランを出たところ、通行人が中指を立てたため、同じジェスチャーを返した。AFPカメラマンが一連のやりとりを撮影していた。

 匿名を条件にAFPの取材に応じたゼムール氏の関係筋は、「衝動的」に出た動作で、同氏からは「侮辱された。指を立てられたから応じた」との説明があったと明かした。

 マクロン大統領に近いクレマン・ボーヌ(Clement Beaune)欧州問題担当相は民放テレビに対し、ゼムール氏が示したジェスチャーは、イスラム教と移民に対する攻撃で知られるようになった同氏の「真の顔」の現れだと指摘した。

 ゼムール氏は来月5日に大規模な演説を予定しているが、これを待たずにここ数日のうちに出馬を表明するとの臆測も出ている。

 マクロン氏も、大統領選への再出馬は明言していないが、来年初めに正式表明するとみられている。(c)AFP/Anne RENAUT