【11月29日 AFP】(更新)世界保健機関(WHO)は29日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」について、危険性と感染力はまだ不明ではあるものの、世界的なリスクが「非常に高い」として警戒を呼び掛けた。

 WHOは同日公開した28日付の技術的助言の中で、アフリカ南部で最初に確認されたオミクロン株には「極めて多くの変異」があり、「その一部は懸念対象で、免疫回避能力やより強い感染力をもたらす恐れがある」として、同株が「世界規模でさらに広がる可能性は高い」と指摘した。

 また、オミクロン株に関連した死者は現時点では報告されていないとはいえ、仮に同株の危険性や致死率が既知の変異株より低かったとしても、もし感染力が高ければ感染者が増加し、医療の逼迫(ひっぱく)を招き、死者の増加につながる恐れがあると警告している。

「オミクロン株による大規模な感染拡大が起きれば、深刻な結果を招く恐れがある」ことから、「懸念される変異株『オミクロン株』の全体的な世界的リスクは非常に高いとみられる」と、WHOは結論付けている。

 一方で移動制限をめぐっては、WHOは先に、新変異株が発見された国からの渡航を禁止すれば、不公平になる上、監視意欲をそぐことにつながりかねないとして、慎重な態度を示していた。

 WHOのマシディソ・モエティ(Matshidiso Moeti)アフリカ地域事務局長は「オミクロン株は既に世界の複数の地域で検出されており、アフリカ対象の渡航制限を講じることは世界の結束を脅かす」と述べている。(c)AFP