【1月1日 AFP】インドネシアの観光地として知られるロンボク(Lombok)島で昨年11月、スーパーバイク世界選手権(World Superbike)の大会が開催され、島は多くのファンを迎えた。しかし、新しいサーキットの建設を含めた超巨大観光インフラプロジェクトが進行する裏では、国連(UN)も非難するような地元住民の立ち退きが行われていた。

 インドネシアは、2億7000万人を超す国民の多くがオートバイを駆り、世界最大級のバイクファンのコミュニティーがある国だが、1997年を最後に主要レースは開催されておらず、今回が久しぶりの大型イベントだった。そしてこの機会に国が建設したのが、全長4.3キロのマンダリカサーキット(Mandalika Circuit)だった。

 建設用地にあったいくつかの村では、住民が自ら引っ越したり、無理やり退去させられたりして出て行った。ところがサーキットの真ん中では、今も40家族ほどが強制退去の脅しにも屈せず、家畜やペットと共に残っている。自然災害のおそれがある島で、大規模な大会を開催することの是非も問われている。

 スーパーバイク選手権の開催は、バイクレース最高峰の大会に向けた手始めで、マンダリカサーキットでは2022年3月、MotoGPのインドネシアGPが開催される予定となっている。

 政府はサーキットの建設を通じて多くの雇用を創出し、年間200万人の外国人観光客を呼び込むことを期待しているが、まばゆいばかりの新プロジェクトは、当局と地元住民との激しい対立の原因にもなっている。