【11月29日 People’s Daily】14億の人口と4億人の中間所得層を擁する中国は年間2兆5000億ドル(約283兆4250億円)の商品・サービスを輸入しており、その巨大な市場にはビジネスチャンスがあふれている。11月5~10日に上海市で開かれた第4回中国国際輸入博覧会には高品質の海外製品が集まり、博覧会が中国市場への輸出を促進するプラットフォームとなっている。

「小」は洋ナシ、調理用油から「大」はトラック、省エネ型油圧ユニットまで、60社以上の企業が新商品や最先端技術、最新サービス100種類以上を輸入博会場で発表。半数以上は世界初公開で、中国向けにカスタマイズした製品も多かった。

 企業展には127か国・地域から3000社近くが出展。このうち後発開発途上国33か国から参加した90社は綿花やコーヒーなどの特産品を展示し、輸入博を足がかりに世界市場へ進出している。

 輸入博の成約額は第1回が578億3000万ドル(約6兆5561億円)から第2回は711億3000万ドル(約8兆640億円)、コロナ禍で行われた第3回が762億2000万ドル(約8兆6410億円)に達し、第4回も大規模な契約が相次いだ。

「今年の初め、わが社は中国市場で1億元(約17億7300万円)を増資しました」と話すのは、ドイツの清掃機器メーカー、ケルヒャー(Kärcher)の責任者・唐暁東(Tang Xiaodong)氏。昨年の輸入博でケルヒャーは「スマート清掃ロボット」を世界初公開し、2か月後に中国で発売した。同社は4年連続で輸入博に出展し、中国でのビジネスは3倍に成長している。今回の輸入博では第3世代の人工知能(AI)スマート清掃ロボットを世界初公開した。中国のナビゲーションシステムチームと共同開発したもので、唐氏は「私たちは中国市場の将来性に確信を持っています」と語る。

 多くの最先端技術やハイエンド機器が中国市場に競って参入する輸入博は、イノベーションを刺激し、産業のアップグレードや高品質な経済発展を後押しする役割を果たしている。無人電動ホイールローダーや生分解性バッテリーなど、技術・機器展示エリアには世界トップレベルの技術系企業が集まり、世界初公開の製品が9件、中国初公開も28件を数えた。

 米国の総合技術・製造企業、ハネウェル(Heneywell)の高成長地域担当プレジデントのシェーン・テジャラティ(Shane Tedjarati)氏は「私たちにとって中国は製品を販売するだけでなく、設計、研究開発、生産、物流といった全産業チェーンにおいて投資する場所となっています」と説明。同社が中国で販売している製品のほとんどは中国で開発、製造しているという。

 貿易円滑化政策の恩恵を受け、ニュージーランドの乳業メーカー、ザ・ランド(Theland)が生産する生乳は、牧場から食卓に届く時間が7日間から72時間に短縮された。同社の責任者、盛文灝(Sheng Wenhao)氏は「中国の消費者はより高い品質の乳製品を求めており、高品質製品のみが中国市場を獲得できる」と強調する。

 フランスの自動車部品メーカー、フォルシア(Faurecia)のブースでは、水素貯蔵ボトルや最新技術を駆使した燃料電池・ボルタ電池が注目を集めた。同社の責任者、フランソワ・タルディフ(Francois Tardif)氏は「二酸化炭素(CO2)の排出量を上昇から下降に転じるカーボンピーク、CO2の排出量を差し引きゼロにするカーボンニュートラルを目指す中国政府の方針の下、輸入博を通じてより多くの循環型・リサイクル型素材を中国の消費者に提供していきたい」と語る。

 コンゴ民主共和国の木製収納ボックス、ネパールの手編みバッグ、ペルーのアルパカ毛マフラー…。輸入博の年間常設展示場には17か国のパビリオンが新たに出展し、総数は63となった。中国の消費者は国内にいながら世界の高品質商品を体験できる。会場から中国全土へ、6日間の期間から365日の市場へ、輸入博がもたらす波及効果はますます拡大している。(c)People’s Daily/AFPBB News