【12月12日 AFP】アフガニスタンの首都カブールのスタジオで、手作りの箱型カメラを使って写真撮影をしているハジ・ミルザマン(Haji Mirzaman)さん。始めた当時はまだ10代の若者だった。

 ミルザマンさんは、この「魔法の箱」を街角へ持ち出し、パスポートや身分証明書用のモノクロ写真を60年以上にわたり撮影してきた。プリントは数分でできる。

 侵攻や紛争、イスラム主義組織タリバン(Taliban)による撮影禁止令など、あらゆる困難を乗り越えてきた箱型カメラではあるが、デジタル技術の登場で、今は消滅の危機にある。

 カブールにある小さな自宅で箱型のカメラを木製の三脚にセットしながら、「これらのカメラはもう使っていません」と語るミルザマンさん。「そばに置いているのはこの最後の1台だけです」

 箱はカメラであり暗室でもある。ミルザマンさんはその仕組みを説明するために印画紙と現像液を装置の中にセットすると、レンズカバーを短時間外して一瞬でネガを作った。次に遮光された口から箱の中に手を入れて、ネガを焼き付け、プリントした。かかった時間はわずか数分だ。

「今は、みんなデジタルカメラを使います…この仕組みを知っている人は、めっきり少なくなりました」

 カメラの箱の部分は地元の木工職人が作り、レンズは輸入品だという。