【11月27日 Xinhua News】中国陝西省(Shaanxi)の咸陽市(Xianyang)文物考古研究所は、秦咸陽城遺跡の西にある塔児坡村で古墓6基を発見したと明らかにした。うち1基の秦墓で見つかった純金の装飾品は、草原の装飾様式と西アジアのビーズ溶接技術を持つ比較的珍しい器物だという。

 同研究所の謝高文(Xie Gaowen)所長によると、金装飾品が見つかったM5墓からは重要な成果が得られた。同墓は、入り口が広く底が狭い竪穴土壙(どこう)墓で、早い段階で盗掘を受けたため葬具や埋葬方式ははっきりしない。出土器物は、銅製カエル像1点、銅製の甑(こしき、蒸し器)1点、銅製の繭(まゆ)形壺1点、金の装飾品9点、貝殻の装飾品11点、貝殻1点で、盗掘を免れた壁龕(へきがん)からは、陶缶1点と陶罐4点も見つかった。形状や副葬品から戦国時代後期の墓と推測される。

 金の装飾品が秦墓で見つかることは少ないという。最も大きいものは直径1・1センチの半球状で、中は空洞になっていた。裏面には留め具があり、表面には水滴文や金のビーズ、円圏文、縄索文など精美な装飾が施されていた。

 謝氏は、秦国の都城とはいえ、咸陽周辺の墓で金器が発見されるのは比較的少ないと指摘。今回見つかった純金製品は、大きさと裏面の留め具からみて衣服の装飾品と思われ、秦墓金器の重要な発見になると述べた。

 金の装飾品の表面に溶接された縄索文と金のビーズも考古学者らの注目を集めた。縄索文は草原文化で金や銀のバックルの縁取りによく見られる。また、金のビーズを溶接する技術はメソポタミアと地中海沿岸が発祥とされる。これらの文様は、戦国後期の秦の人々がこの種の金線とビーズ溶接技術に触れていたことを説明しており、秦と漢の統一により西方由来の金加工技術が徐々に普及していったことを示している。(c)Xinhua News/AFPBB News