【11月28日 東方新報】来年2月4日開幕の北京冬季五輪が近づいている。北京市中心部エリアと北京市郊外の延慶区(Yanqing)エリア、河北省(Hebei)張家口市(Zhangjiakou)エリアの3会場では10月5日から12月末まで本番に備えたテスト大会を開催中。送電システムや救急医療、安全管理、新型コロナウイルス対策などの「後方支援」も進んでいる。

 北京大会は五輪史上初めて、使用電力を100%クリーンエネルギーでまかなう。延慶区の太陽光発電や河北省張北県(Zhangbei)の風力発電などで1億キロワットの電力需要を満たす計画で、送電網も新たに整備した。競技会場は五輪のため新設された施設が多く、極寒の中でも安定した電力を供給できるかがカギ。電力会社の国網北京電力はテスト大会に約1万人の作業員を投入している。

 北京エリアの国家スピードスケート館やアイスホッケーを行う五棵松体育センターなどの氷上競技会場は、二酸化炭素(CO2)を冷媒とした遷臨界直冷技術を採用して製氷。CO2排出量をほぼゼロに近づけた。また、冷却・暖房の供給一体化設計により、冷却の余熱を回収してエネルギー効率を上げている。延慶エリアや張家口エリアでは、水素燃料電池自動車や水素燃料大型バスが走行する。北京冬季五輪組織委員会技術部の喩紅(Yu Hong)部長は「大会期間中、(CO2排出を実質ゼロにする)カーボンニュートラルの目標を達成する」と意気込む。

 北京大会では多くの「ロボットボランティア」も参加する。新型コロナ対策の消毒ロボット、移動式検温ロボットのほか、清掃ロボット、案内ロボット、翻訳ロボットなどが登場。自動充電や自動で障害物を避ける機能を備え、長時間の活動が可能という。四足歩行の「ロボット犬」は、極寒の会場で各種機器が正常に作動しているか確認して回る。

 医療態勢も万全に取り組んでいる。会場によっては300~400メートルごとに医療チームを設置し、スキーができる医師や救急隊員を配置する。2機のヘリコプターに医療スタッフが乗り込み、空と地上から「3次元」の救助態勢を整えている。最高時速140キロで滑降し、けがの発生率が高いアルペンスキーの会場では特別医療チームを編成する。

 このほか、フリースタイルスキーやスノーボードを行う首鋼スキージャンプ場では、ドローンを使った衝突防止テストを実施。各会場周辺にはエーロゾル新型コロナウイルス観測装置を設置し、競技場やホテルの空気中に新型コロナウイルスが含まれているかどうかを検査する。

 こうした最近技術も、コントロールしているのは「裏方」のスタッフたち。大会を成功に導くため、テレビ画面に写らない場所から会場の選手を支えていく。(c)東方新報/AFPBB News