【11月26日 AFP】フランス北部沖で、イギリス海峡(English Channel)を渡り英国への入国を試みた移民少なくとも27人が死亡した事故を受け、英仏両国は25日、他の欧州諸国に対し、密航防止に向けた協調対応を呼び掛けた。

 仏政府は、難民をめぐる緊急閣僚会合を今週末開くことを他の欧州諸国に提案。ただ、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後も英仏間の対立は解消されておらず、協調対応に影響を及ぼす恐れがある。

 イギリス海峡は2018年以降、アフリカ、中東、アジアからの移民が英国を目指す際の主要ルートになっている。小型ボートによる渡航の試みも増えており、今回の事故では、同年以降で最多の死者を出した。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は事故を受け、同海峡を「墓地」にはさせないと表明。同大統領はボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相と電話で協議した。

 英首相官邸によると、両首脳は、命懸けの密航を防ぐためには協調行動の強化が急務であり、密航組織の活動を阻止するため「あらゆる選択肢を排除しないことが重要」との考えで一致した。

 しかし、ジョンソン氏は地元メディアに対し、英政府としては、状況に適した解決策を模索する中で、一部のパートナー国、特にフランスの説得に手を焼いていると漏らした。

 一方、仏大統領府は、マクロン氏がジョンソン氏に対し、両国には「共通の責任」があると訴えるとともに、「英国が全面的に協力し、悲劇的な状況の政治利用を控えることを期待する」と伝えた、とする短い声明を出した。

 英PA通信(Press Association)によると、今年これまでに2万5700人以上がイギリス海峡を小型ボートで渡っており、すでに昨年1年間の3倍に上っている。(c)AFP/Zoe LEROY with Sylvie MALIGORNE and Stuart WILLIAMS in Paris