【11月25日 AFP】エチオピアのアビー・アハメド(Abiy Ahmed)首相が、政府軍と反政府勢力との戦闘が続く北部ティグレ(Tigray)州の前線に到着した。同国政府系メディアが24日、報じた。

 同国北部で1年前から続く紛争は激化の様相を呈しており、国際社会の懸念が高まっている。少数民族ティグレ人の反政府勢力が首都アディスアベバに進攻する可能性を受け、フランスとドイツ、イタリア、米国に続き、英国も自国民に同国からの退避を勧告した。

 政府系のファナ放送会社(FBC)は、アビー氏が23日から戦場入りし「反攻の指揮を執っている」と報じた。具体的な所在地は明らかにされておらず、国営メディアも戦地入りした同氏の映像は放送していない。

 アビー氏は軍の元無線通信士で、軍在籍中には中佐にまで昇進。2019年には、隣国エリトリアとの紛争解決の功績を認められノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞していた。

 エチオピア北部での戦闘は人道的危機を引き起こしており、国連(UN)の推計によると、これまでに数千人が死亡、数十万人が飢餓に近い状況に置かれているほか、虐殺や集団レイプの報告も相次いでいる。

 国連は24日、ティグレ州西部で住民避難の「新たな波」が起きているとの報告があるとして、懸念を表明した。同地域については、米国が以前、民族浄化が行われていると警告していた。(c)AFP