【11月25日 東方新報】中国で2018年に司法競売にかけられそうになり話題となった柴犬の「登登(Deng Deng)」が今年11月上旬、あらためて司法競売にかけられた。

 登登は日本の犬種として中国で大人気の柴犬で、7~8歳のオス。飼い主が2014年にペットを一時預かる民間施設に預けたが、連絡が途絶えて料金滞納も続いた。施設側は17年に飼い主が引き取りに来るよう裁判所に訴え、勝訴。それでも期日までに飼い主が現れないため、施設の申請を受けて裁判所が18年に「司法競売を行う」と公告し、「犬の競売」がニュースとなった。その後、海外在住の飼い主から連絡があり競売は中止されたが、飼い主は結局引き取りに現れず、裁判所が再び司法競売にかけることになった。

 競売は11月3日午前10時、最低落札価格500元(約8926円)からスタート。100元(約1785円)の保証金を払って事前登録した480人が入札に参加し、開始から8分で1万元(約17万8538円)、午後9時すぎに5万元(約89万2690円)に達した。

 入札はインターネットで実況中継され、計16万人が「観戦」した。施設にいる登登がドッグフードを食べたり眠ったりしている様子も生中継され、「かわいい登登が優しい飼い主に引き取られますように!」など多くの書き込みがあった。入札期間は1日で、終了時間の5分前に入札があった場合、自動的に5分間延長する仕組み。そして4時間以上延長した4日午後2時42分、931回の入札を経て16万10元(約285万6786円)で落札された。

 落札が決まると、次は「落札者はどこのお金持ち?」「本当に16万元(約285万6608円)も支払うの?」と話題になったが、期限の15日までに16万10元が裁判所に支払われた。

 落札者は舒(Shu)さんという男性で、中国メディアの取材に「私は普通の市民。落札額を払うため、とにかく現金をかき集めました」と答えている。「登登のことは前回の競売騒ぎの時から気になっていました。どこかの組織や個人が登登を商業目的に使うのを防ぎたかったんです」と入札に参加した理由を語る。

 幼い娘には「パパはちょっと高い犬を買おうと思っているんだ。幼稚園を卒園するまでおもちゃを買ってあげられないかもしれないけど、どうかな?」と尋ねると、娘が「いいよ!」と返事をしてくれたことで決意したという。母親は「なぜ犬のためにそんな大金を使うの?」と驚いたが、舒さんは「お母さんは昔、私に人生にとって大切なことを教えてくれたよね。私は今、それを実行しているんだよ」と諭したという。

 これまでも雑種の犬や猫を飼っている舒さんは「犬の7~8歳が高齢ということも知っています。登登には残された時間、施設とは違う多くの世界を見てほしいと思っています。名前も変えません。多くの登登ファンが気にするでしょうから、写真を撮るのは苦手ですが、たまには登登の近況を報告しようと思っています」と話す。

 競売終了後、飼い主から「登登を引き渡したくない」と裁判所に要請があったが、所有権の移転は完了しているとして裁判所は却下している。民間施設が登登を預かった費用は年間4万元(約71万4152円)ほどだったが、落札額でおおむねまかなわれたという。中国メディアは「民間施設も、費用を回収できるあてもなく登登の世話を何年も続けていた。多くの人の善意で登登の生活は守られた」と報じている。(c)東方新報/AFPBB News