【11月25日 東方新報】中国の若い女性の間で、金のジュエリーが人気となっている。以前は「おばさん臭い」「ダサい」というイメージから敬遠されていたが、急激に意識が変わっている。

 金の国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(World Gold Council、WGC)が2016年に発表したリポートでは、中国の女性は世界の他の地域より「金のジュエリーを購入したい」と考える割合が高いが、18~24歳の女性に限ると「購入したい」はわずか16%となり、半数以上の人が理由として「自分のスタイルに合わない」と答えている。

 中国で金のジュエリーというと、「福」などの縁起の良い漢字がデカデカと刻まれた金の指輪を妙齢の女性が指にはめ、デザインより金の重さや値段を自慢する-といったイメージがあり、若者からすると「やぼったい」「ケバい」「成り金っぽい」とネガティブな印象が強い。ところが、ティファニー(Tiffany)やパンドラ(Pandora)、APM Monacoなどの銀のジュエリーを追い求めていた若い女性たちが、中国の伝統ブランドの周大福(Chow Tai Fook)や菜百(Caibai)のゴールドジュエリーを選ぶようになった。周大福の株価は今年に入り55ポイント上昇し、過去最高を記録した。

 中国黄金協会によると、今年上半期の国内の金消費量は急速に回復し、コロナ禍以前の2019年上半期より4.4ポイント増、そのうち金のジュエリーは67.6ポイント増となった。25歳以下の女性消費者が増えていることが大きな要因という。

 人気の要因は、アンティーク調や金糸を使ったジュエリーなど、おしゃれなデザインが増えたこと。同時に資産としての金の価値にも注目が高まり、「存銭(金をためる)」という言葉にかけて「存金(ゴールドをためる)」と言われるようになった。

「インスタグラム(Instagram)とオンラインショッピング機能が合体したアプリ」といわれる「小紅書(Red)」では、「おしゃれな金のジュエリーの使い方」「金のジュエリーを格安購入!」といった投稿や広告であふれている。毎年11月11日を中心に行われる中国最大のオンラインショッピングセール「双11(ダブルイレブン)」で、今年は金のジュエリーの注文が増加。「去年までは化粧品の値引き品を探していたが、今年は金のジュエリー狙い」という若い女性が目立った。

 菜百の担当者は「以前は金のジュエリーというとグラム数や価値が重視されたが、さまざまなデザインや技術が増え、自分の価値観や個性を重んじる若者の心情にフィットしている」と分析。中国の産業調査機関・頭豹研究院は、国内の金のジュエリー市場規模は2023年に2618億元(4兆6741億円)に達すると予想している。(c)東方新報/AFPBB News